教育講演
地域における発達支援で求められる作業療法の専門性
障害児通所支援においては、今年度4月から報酬改定を受けて、現場にて具体的な変化・変更・対策が求められることとなった。
現在の障害児通所支援の体系は2012年の障害福祉の構造改革により創設された。10年が経過する中で様々な成果と課題が得られてきた。国としても、この間の課題を整理するために、2021年に障害児通所支援の在り方に関する検討会を、2022年に通所支援に関する検討会を開催し、検討を進めてきた。21年検討会では児童発達支援センターが医療型と福祉型の一元化が決められた。また、支援の類型化(総合支援型と特定プログラム型)が話題となったが、22年検討会において、児童発達支援・放課後等デイサービスは5領域を含める総合支援型が基本であることが確認された。同時に児童発達支援センターの機能強化、総合的なアセスメントの重要性が確認された。これらの検討会の内容を受けての、障害福祉サービス等報酬改定となっている。
この間、強調されてきていることは、障害児として考える前に、当たり前のこどもとしてその存在をとらえて、こどもとしての権利を保障すること、こどもとして総合的な支援を受けられるようにすることである。我々作業療法士に求められることも、当然この方針に沿ったものとなる。
総合的に支援をするということは、取りも直さず子どもの育ちや生活全体を見ることであるといえよう。子どもの発達や育ちを多角的に見ることができる作業療法士の得意なことであると考えられる。また、生活全体を視野に入れるということは、通所している施設での生活だけでなく、その対象となる子の家庭生活や地域生活も視野に入れる必要が求められており、これもまた活動と参加を支援する専門家である作業療法士の得意とするところと言えるだろう。
しかしながら、作業療法士の現状はどうであろうか。この領域で働き、活躍する人が増えており、積極的に活動展開している人が増えている。一方で、通所における作業療法士の役割がわからないとか、専門性に迷うとか、アイデンティティに不安があるなどの悩みを耳にすることも少なくない。
本講演では、作業療法士に何が期待されるのか、それが実現されるための作業療法士の専門性をどのように考えるかをお伝えする。